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今回の聴きどころ

第87回(2020年9月)



ちょっと訳ありの作品集~その訳とは?

◆「英雄」と「運命」に挟まれて目立たない交響曲~ベートーヴェン:交響曲第4番
 本年はベートーヴェンの生誕250年の節目に当たる年です。2月の第86回演奏会では交響曲第3番「英雄」を取り上げました。今回はそれに続く第4番です。この曲は、シューマンが「2人の神話の巨人の間に挟まれた乙女」と例えたと伝えられているように、有名な第3番「英雄」と第5番「運命」の二つの山に挟まれた谷間のような曲で、両者に比べると特徴のない地味な曲として取り扱われています。一方で、元気溌剌な旋律や優雅で美しい旋律などに溢れ、コンパクトにまとまった名曲との評判もあります。

  この曲は、アマチュアオーケストラが演奏会のメインの曲として取り上げることが少ないですが、それは、集客の問題や、楽器編成でフルートが1本であること、技術面で特に第4楽章が難しいことなどが要因となっているのかもしれません。とりわけファゴットには技術的に非常に難しいソロがあるため、一部では「ファゴット奏者泣かせの曲」とささやかれています。

◆日本では知られていないフランスの女流作曲家の傑作~ファランク:交響曲第3番
 紛らわしいですが、有名な作曲家「セザール・フランク(César Franck)」ではなく「ルイーズ・ファランク又はファラン(Louise Farrenc)」ですのでお間違えなく。どちらもフランスの作曲家ですが、ルイーズ・ファランクは、ベートーヴェンが「英雄交響曲」を完成させた年、すなわちナポレオンが皇帝に即位した1804年にパリで生まれた、当時としては珍しい女流作曲家です。この交響曲第3番は、1849年、ファランクが45歳の時にパリで初演されて好評を博した作品です。

 当団は、80回を超える演奏会において、日本ではほとんど知られていない作曲家の埋もれた交響曲を積極的に取り上げてきました。その中には、恐らく本邦初演と思われる曲も含まれています。この曲は第74回演奏会(2014.2)で演奏していますが、恐らくそれが本邦初演と思われます。少しでも多くの方に埋もれた名作を知っていただきたく、今回再びプログラムに取り上げることとしました。前回とは指揮者が替わっているため、一味違った演奏となると思われます。

◆中の一曲が有名過ぎて全曲演奏される機会が少ない曲~バッハ:管弦楽組曲第3番
 「管弦楽組曲第3番」という名は知らずとも、「G線上のアリア」はどなたでもご存じでしょう。最近のテレビドラマにもパロディとして使われた「G線上のアリア」は、管弦楽組曲第3番の第2曲「アリア」の旋律をヴァイオリンのG線だけで弾くように編曲されたものです。弦楽合奏で演奏される原曲の「アリア」もまた、演奏会のアンコールや結婚式、追悼式などで単独で演奏されることは多いですが、それに比べるとこの組曲全体が演奏されることは少ないようです。

  当団は、元々バッハを演奏する少人数の合奏団として1776年に発足しましたが、第2回演奏会(1977.1)以降は小編成ながら二管編成のオーケストラとして活動してきたため、バッハの曲は数えるほどしか取り上げてきませんでした。特にこの曲は、管楽器がトランペット3本とオーボエ2本という特異な編成で「アマチュアオーケストラ泣かせ」の曲ですが、今回は、初心に返って演奏したいと思います。

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