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今回の聴きどころ

第83回(2018年2月)



「古典派三大巨匠」のプログラム

 今回は、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンというクラシック音楽界における「古典派三大巨匠」とも言うべき作曲家の作品をプログラムとした演奏会です。当団は小編成のオーケストラなので古典派の作品はよく演奏するのですが、意外にも古典派三大巨匠の作品が一堂に会す演奏会は、80回を超える歴史の中で初のこととなります。

  前回の演奏会では、メインプロにモーツァルトの交響曲第41番K551と番号に「1」の付く交響曲を演奏しましたが、今回もメインプロにベートーヴェンの交響曲第1番を配したほか、「1」にまつわる作品を集めてみました。中でも1790年代の10年間という短いスパンに作曲された作品をピックアップし、作曲年代順に並べましたので、互いに影響受けながら同時代を生きた作曲家の作風の違いを聴き比べていただけると幸いです。

 モーツァルトが1791年(没年)に完成させた歌劇「皇帝ティートの慈悲」は、音楽学者ケッフェルが付けた作曲順の番号(K番号)ではK621となっています。一つ前のK620は歌劇「魔笛」です。「魔笛」の作曲を中断してわずか18日間で完成したとも言われ、完成は「魔笛」より早いのですが、書き始めたのが遅いことから、K番号では順番がこのようになっています。この年は、ハイドンの交響曲でいうと、「驚愕交響曲」として有名な第94番ト長調が作曲された年に当たります。

 ハイドンの交響曲第101番ニ長調は、「時計」という愛称で呼ばれ有名ですが、もちろん番号も愛称もハイドン自身が付けたものではありません。1793年~94年、ハイドンが61歳のときの作品です。ハイドンはモーツァルトより24歳も年上なので、モーツァルトの交響曲に影響を与えていると思われがちですが、モーツァルトはこの頃にはすでに他界していて、この曲は前回演奏した「ジュピター交響曲」の6年も後に書かれているのです。

 ベートーヴェンの交響曲第1番ハ長調の作品番号は21で、1799年~1800年、ベートーヴェンが29歳のときの作品です。当時の交響曲デビューとしては遅いかもしれませんが、前述の「時計交響曲」とは6年しか隔たりがありません。主題や構成にハイドン、モーツァルトの影響を受けていることは否めませんが、両者にない独自性や新しい試みも多く、実験的な曲と言えます。ハイドンはこの頃67歳で、すでに交響曲は書き終えていますが、もし交響曲の作曲を続けていたらこの曲の影響を受けた可能性はあります。当団がこの曲を演奏するのは、第6回(1980年)、第36回(1995年)、第51回(2002年)に次いで4回目となり、交響曲では最多演奏回数を誇ります。

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