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今回の聴きどころ

第82回(2017年9月)



◆サン・サーンス:交響曲第2番イ短調作品55
 当団では、40年の歴史の中で、アリアーガ、シュポア、ファランクなど日本ではあまり馴染みのない作曲家の交響曲や、メンデルスゾーン、ボロディン、グラズノフなどの有名な作曲家の交響曲の中でほとんど演奏されることのない第1番をシリーズで演奏するなど、埋もれた名曲に焦点を当てて積極的に取り上げてきました。中には日本初演と思われる曲も含まれています。今回は、その一環として、サン・サーンスが1859年、若干23歳のときに書いた交響曲第2番を取り上げます。

  サン・サーンスは、番号の付されてない2曲を含めて5曲の交響曲を完成したと言われています。そのうち今日よく演奏されるのは1886年に書かれた第3番「オルガン付」くらいで、それ以外はほとんど演奏されません。第2番は、実際は5曲中4番目に当たりますが、次の第3番の完成まで実に27年の隔たりがあります。

 「サン・サーンスの交響曲」というと、第3番に代表されるように大掛かりな編成で、壮大な交響曲をイメージしがちですが、第2番は、それとは正反対で、ホルン2本、トロンボーン・チューバなしの古典的な二管編成で書かれ、演奏時間も20分余りの小規模な交響曲です。とはいえ、曲全体は若さに満ちたエネルギッシュで美しい旋律に満ち、コンパクトにまとまっています。第1楽章には、第80回演奏会で取り上げたシューマンの交響曲第4番の主題に似た動機が出てきますが、循環形式を用いるなどシューマンの交響曲の影響を受けているものと思われます。

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