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今回の聴きどころ

第81回(2017年2月)



◇オール・ブラームス・プログラム
 1976年1月、バッハの作品を集めた演奏会で衝撃的デビューを果たした当団ですが、一人の作曲家に特化した演奏会は40年/80回の歴史の中でも意外に少なく、ほかには第2回(1977)と第24回(1989)にモーツァルト、第38回(1996)にシューマンを取り上げた演奏会があるのみです。

 今年(2017年)は、強いて言うなら、ブラームスの没後120年という節目に当たります。そこでブラームスの作品ばかりを集めた演奏会とし、特に彼が円熟期に向かう40代前半(1873-1878年)に書かれた傑作をピックアップしました。

◇小編成で演奏する交響曲第2番
 ブラームスの交響曲は、その重厚なオーケストレーション故、現代では弦楽器総勢60人を超える大編成で演奏されることが多いですが、ブラームス自身は、弦楽器群が木管楽器のソロを埋もれさせないよう、弦楽器総勢30人程度の小編成で演奏されることを望んでいたようです。特に交響曲第2番は、ベートーヴェンになぞらえて「ブラームスの田園交響曲」と称されることもある牧歌的な曲で、小編成でも効果が出るように書かれています。当団では、1994年2月の第34回演奏会で取り上げており、23年ぶりの再演となります。ブラームスの希望どおり小編成の利を活かした演奏をお楽しみください。

◇師弟共演のヴァイオリン協奏曲
 今回の目玉は、何と言っても、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(シティ・フィル)コンサートマスター戸澤哲夫氏をソリストに迎えてのヴァイオリン協奏曲でしょう。同氏とは、2009年9月、第65回演奏会でベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏しましたが、それ以来8年ぶりの共演となります。

 指揮の平川範幸氏は、2013~14年度シティ・フィルの指揮研究員でした。そのとき指揮者の方々から多くを学びましたが、同時に、コンサートマスターである戸澤氏の音楽に対する姿勢に多大なる影響を受け、氏の助言と指導は今の音楽人生の礎となっているそうです。いわば恩師である戸澤氏とは、指揮者とソリストという立場では今回が初共演で、そんな師弟関係にある二人がどのような協奏曲を創り上げるかが見ものです。実は、昨年、指揮者の勇退に伴って新しい指揮者を探していた当団のメンバーが戸澤氏に相談したところ、有望な若手指揮者として紹介していただいたのが平川氏だったのです。つまり当団が平川氏の棒の下で演奏会を開催できるのは、ひとえに戸澤氏のお陰なのです。

 そんな因縁のあるソリスト・指揮者・オーケストラ、その三者が“協演”する協奏曲、これは聞き逃せませんね。

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