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今回の聴きどころ

第79回(2016年9月)



メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」~1834年改訂版~

 今回演奏するイタリア交響曲の第2~4楽章は、初演後の1834年に作曲者自身が自ら改訂した稿を基にした版を用いています。通常演奏されているのは1833年に初演された初稿を基にしたいわゆる初稿版(1833年版)ですが、改訂稿は近年まで出版もされず演奏されることはありませんでした。この改訂版では、オーケストレーションから旋律に至るまで大幅な変更がなされており、初稿版とはかなりの違いがあります。この交響曲に聴き慣れている人はその違いにさぞかし驚かされることでしょう。

 メンデルスゾーンはこの交響曲を1833年に完成し初演しています。「第4番」という番号が付いていますが、これは楽譜の出版順によるもので、作曲順では3番目に当たり、第1番や第5番「宗教改革」の後、第2番「讃歌」や第3番「スコットランド」の前に作曲されています。彼は、この曲の初演後、改訂の必要があるとしてすぐには出版しませんでした。実際、この曲が出版されたのは彼の死後の1851年で、これは前述の初稿であったと考えられています。彼は初演の翌年の1834年に第2~4楽章の改訂作業に取りかかり完成させますが、この改訂稿は、何故か第1楽章が改訂されないまま放置され、生前に演奏されることはありませんでした。

 なお、今回の演奏では、第1楽章のみ通常演奏されている初稿版(1833年版)を使用しています。

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