
演奏会情報
アンサンブル ディマンシュ 第97回演奏会
*日時:2026年9月21日(日)14時開演(予定)
*場所:調布市文化会館たづくり くすのきホール
*曲目:~オーストリアの作曲家の古典的作品~
曲目: モーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲 K.527
曲目: ハイドン 交響曲第103番変ホ長調「太鼓連打」(ロンドン初演版)
曲目: シューベルト 交響曲第4番ハ短調「悲劇的」D.417
指揮:平川 範幸
*入場料:1,000円(全席自由)
今回の聴きどころ

今回は、ハイドン(1732-1809)、モーツァルト(1756-91)、シューベルト(1797-1828)という
オーストリアの作曲家の古典的作品を集めてみました。特に、ハイドンが晩年に書いた円熟した交響曲とハイドンの影響を受けたシューベルトが若き日に書いた溌剌とした交響曲を聴き比べていただきたいと思います。ハイドンの交響曲第103番が作曲されたのはハイドンが63歳のとき、一方シューベルトの交響曲第4番はシューベルトが19歳のときで、両者の年齢差は65歳ですが、両交響曲が作られたのは、僅か20年余の差しかありません。意外ですが、ハイドンとシューベルトの交響曲を同じ演奏会に会するのは、97回を数える当団の演奏会でも初めてのことです。
◆ハイドン:交響曲第103番で使用する版について
ハイドンは1794~95年にかけて2回目のロンドン訪問を行います。このときロンドンで初演された交響曲が第99番~第104番の6曲(第Ⅱ期ロンドン交響曲)で、この曲は5番目に当たります。この曲はロンドンで初演された後、ウィーンでも初演されますが、この時ハイドンは、第4楽章のコーダ部分を少し手直しします。一般に演奏されているのは、このウィーン初演版(改訂版)です。ウィーン初演版は、ロンドン初演版(初稿版)より楽章全体が13小節短く、コンパクトにまとまっているという感じです。ロンドン初演版に特に問題があるとは思えず、この改訂の意図はよく分かりません。ロンドン初演版の楽譜は出版されていませんが、1968年に出版されたハイドン・モーツァルト・プレス社版には、巻末にロンドン初演版の第4楽章コーダ部分が付録として掲載されています。今回当団は、このロンドン初演版で演奏します。と言っても、ほんの些細な違いなので、よほどのハイドン通でないと気が付かないかもしれません。
ハイドンの交響曲で最初にクラリネットが登場するのは、前述の第Ⅱ期ロンドン交響曲の第99番で、第Ⅱ期ロンドン交響曲のうち、第102番を除く5曲にクラリネットが入っています。ちなみに、モーツァルトの方が交響曲にクラリネットを加えたのが早く、第31番「パリ」(1778)を始め、第35番「ハフナー」、第39番、第40番(改訂稿)にクラリネットを使っています。この第103番にも2本のクラリネットが入っているのですが、ウィーン初演版を基に出版された楽譜では、第2楽章と第3楽章がタチェット(楽章休止)になっています。現代では考えられない贅沢な使い方ですが、当時、クラリネットはオーケストラの新参者で、まだ、作曲家にその良さを認知されていなかったのでしょう。ところが、前述の1968年に出版されたHMP社版では、第3楽章にクラリネットが入っていて、特にトリオで活躍します。この版は、大英博物館に所蔵されているハイドンの自筆譜を基にしているのですが、第3楽章に関しては、ハイドンと筆跡が異なるページがあるため、ハイドンが書いたものなのか、他の人が書き加えたものかは不明になっています。普通第3楽章メヌエットのトリオでは、オーボエ又はオーボエとヴァイオリンが旋律を奏でますが、ウィーン初演版のトリオではオーボエが休止して、ヴァイオリンだけが旋律を担っています。オーボエを外した原因の一つには、この旋律の中で、オーボエでは出ない下のB(シ♭)の音が出てくることが挙げられます。そこで、ハイドンにしろ、他の人にしろ、オーボエの代わりにB(シ♭)の音が出るクラリネットにヴァイオリンと同じ旋律を担わせた可能性は充分考えられます。近年、他の出版社もHMP社に追随した楽譜を出版しており、現在では、この第3楽章にクラリネットの入った演奏が主流になっています。
◆シューベルト:交響曲第4番の特徴
シューベルトの交響曲は、1822年(25歳)以降に書かれた「未完成」や「グレイト」が有名ですが、1813年〜1818年(16歳〜21歳)の若き日に書かれた初期の交響曲が6曲あります。この第1番〜第6番の交響曲は、いずれも30分前後の古典的な作品で、人気の高い「未完成」や「グレイト」に比べると演奏される機会が少ないですが、その中でも、未完の曲を除くと唯一の短調の曲で、「悲劇的」という愛称が付いている第4番は、比較的人気があり、よく演奏されます。この「悲劇的(Tragische)」という愛称は、シューベルト自身が付けたと言われています。
初期交響曲は古典的で、シューベルトが尊敬していたハイドンやモーツァルトの影響を色濃く受けています。しかし、それだけではなく、その時代に流行していた他の作曲家の音楽をうまく取り入れています。例えば、第3番では、当時ウィーンで大流行していたロッシーニの歌劇の序曲を取り入れています。また、この第4番では、同じハ短調のベートーヴェンの「運命」の影響が見られます。偶然かもしれませんが、この曲の第1楽章の主部の第一主題は、「・タタタタン」という「運命」の動機と同じリズムで始まり、第4楽章の第一主題は、「ターンタタタ」というその反転型になっています。「悲劇的」という愛称も、「運命」を意識して付けられたのかもしれません。(注:この時代、ベートーヴェンの交響曲第5番に「運命」という愛称は付けられていません。)
指揮者紹介
■平川範幸(ひらかわ のりゆき)
福岡県出身。 福岡教育大学卒業。上野学園大学研究生<指揮専門>にて下野竜也、大河内雅彦の各氏に師事。桐朋学園大学オープンカレッジにて、黒岩英臣、沼尻竜典の各氏に師事。音楽理論を中原達彦氏に、ピアノを田中美江氏に師事。
東京音楽大学特別講座にて、パーヴォ・ヤルヴィの指揮公開マスタークラスを受講。その模様がNHK「クラシック音楽館」にて放送される。
新日鉄住金文化財団指揮研究員として、紀尾井シンフォニエッタ東京、東京フィルハーモニー交響楽団の下で活動する。その後東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団指揮研究員として、宮本文昭、飯守泰次郎、矢崎彦太郎の各氏をはじめとする指揮者の下で研鑽を積む。 2016年、サントリーホールで開催された「こどもたちのコンサート」特別公演にて、ウィーン・フィルのメンバーと仙台ジュニアオーケストラの合同演奏を指揮する。同年、浜松フィルハーモニー管弦楽団の演奏会にて、ベルリン・フィルのオーボエ奏者、クリストフ・ハルトマンやクラリネット奏者のヴェンツェル・フックス、ホルン奏者のシュテファン・ドゥ・ルヴァル・イェジエンスキーの各氏らと共演する。
これまでに、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、大阪交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、仙台フィルハーモニー管弦楽団、千葉交響楽団、九州交響楽団、東京混声合唱団、広島ウインドオーケストラなどを指揮する。
2016年より2021年まで、仙台ジュニアオーケストラ音楽監督を務める。
2024年に大阪交響楽団、九州交響楽団それぞれの主催公演を指揮する。

東京音楽大学特別講座にて、パーヴォ・ヤルヴィの指揮公開マスタークラスを受講。その模様がNHK「クラシック音楽館」にて放送される。
新日鉄住金文化財団指揮研究員として、紀尾井シンフォニエッタ東京、東京フィルハーモニー交響楽団の下で活動する。その後東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団指揮研究員として、宮本文昭、飯守泰次郎、矢崎彦太郎の各氏をはじめとする指揮者の下で研鑽を積む。 2016年、サントリーホールで開催された「こどもたちのコンサート」特別公演にて、ウィーン・フィルのメンバーと仙台ジュニアオーケストラの合同演奏を指揮する。同年、浜松フィルハーモニー管弦楽団の演奏会にて、ベルリン・フィルのオーボエ奏者、クリストフ・ハルトマンやクラリネット奏者のヴェンツェル・フックス、ホルン奏者のシュテファン・ドゥ・ルヴァル・イェジエンスキーの各氏らと共演する。
これまでに、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、大阪交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、仙台フィルハーモニー管弦楽団、千葉交響楽団、九州交響楽団、東京混声合唱団、広島ウインドオーケストラなどを指揮する。
2016年より2021年まで、仙台ジュニアオーケストラ音楽監督を務める。
2024年に大阪交響楽団、九州交響楽団それぞれの主催公演を指揮する。
楽団紹介
アマチュアだからこそ出来る音楽を求めて45年
アンサンブル ディマンシュは楽器で会話できるオーケストラをめざしています
2022年、第90回を迎えました
コンセプト
当団のモットーは、「アマチュアオーケストラだからこそできる最高の音楽を追究する」です。上意下達ではなく、団員同士が意見を言い合い、一人ひとりがソリストのような気持ちで演奏に参加して、創造性のある音楽を築いていくことを目指しています。
演奏
最新情報&更新情報
2025.06.19 演奏会のお知らせ に 第98回演奏会の日程を追加しました
2025.06.19 第97回の「今回の聴きどころ」を追加しました
2025.04.28 第97回演奏会のお知らせを掲載しました
2025.04.28 演奏曲目第81回~ に第96回演奏会を追加しました
2018.08.15 Twitterはじめました
2016.07.01 ホームページをリニューアルしました
お問い合わせ
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ご注意 当団は、アンサンブル・ディマンシュ香港、オーケストラ・ディマンシュ、 アンサンブル・ディマンシュ(前橋市)、アンサンブル・ディマンシュ(高槻市)、 アンサンブル ディマンシュ(兵庫県の弦楽四重奏団)等とは別の団体です。 |